労働者派遣事業報告書の季節がやって来ます!作成のポイント

2021年6月24日

派遣業を営んでいる事業は必ず提出しなければならない「労働者派遣事業報告書」。
この提出は、派遣法によりすべての派遣会社に義務付けられています。
ではそもそも労働者派遣事業報告書とは何なのか、具体的に何を記せばよいのか、提出しなかった場合の罰則など、細かく見ていきましょう。

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労働者派遣事業報告書とは?

もともとは年に2回、年度報告と状況報告として労働者派遣事業報告書を提出していました。
しかし派遣法改正のタイミングでこの2つが一本化し、年に1回、6月30日までに提出すること、と変更になりました
労働者派遣事業報告書では、事業の業績を報告するだけではなく、抱えている派遣スタッフの契約状況や直接雇用の見込み、安全・衛生面やキャリアアップ指導の状況など、こと細かに報告をしなければなりません。
労働者派遣事業報告書は義務化されているため、提出期限をすぎる場合や、報告書が事実と異なるなどあれば、罰則が設けられています。

年度報告

年度報告は、提出する6月以前の決算月に合わせて対象期間が変動します。
例えば、5月末決算の会社では、前年の6月1日~提出月の前の5月31日までの数字で報告書をまとめる必要があります。
そのため、決算月が6月以降で早けれは早いほど、数字が固まるタイミングも早く、年度報告を早めに作成することができます。
これから人材派遣会社を起業する場合は、そのことを念頭に置いて、決算月を決めるとよいでしょう。

状況報告

状況報告は提出する6月の1日の状況でまとめなければなりません。
そのため、どうしても作成が6月に入ってからになってしまうので、やはり年度報告を早めに用意し、6月は余裕をもって状況報告を作成して早めの提出を心がけるべきでしょう。

労働者派遣事業報告書の未提出・虚偽報告を行うと?

労働者派遣事業報告書を期限までに提出しなかった場合には、指導・許可取り消し、場合によっては業務停止が命じられることもあります
うっかり忘れてしまった、では済まされない状況になるため、期日までに必ず提出するようにしてください。
また、労働者派遣事業報告書の内容によっては処罰の対象となります。
では具体的にどのような罰則があるのか見ていきましょう。

【30万円以下の罰金】
・事業報告に労使協定を添付しなかった

【勧告・公表(派遣先)】
・派遣元へ情報を提供しない、虚偽報告

【許可取り消し・業務停止・改善命令(派遣元)】
・派遣先からの情報を保存しない

【許可の取り消し・業務停止・改善命令】
・不合理な待遇の禁止等に違反
・待遇等を説明しなかった
・紛争解決のため公的機関等を利用した派遣労働者を不利益に取り扱う

正しく派遣事業が運営されているかをチェックするための労働者派遣事業報告書なので、それを逸脱したものに対しては厳しく処罰されることを覚えておきましょう。また、処罰を受けるだけでなく、処罰を受けたことで登録スタッフやこれから登録を検討している求職者、取引先からの印象も悪くなります。その後の事業継続にも多大な影響を与えるため、労働者派遣事業報告書を正しく作成して忘れずに提出することは非常に大切な業務といえるでしょう。

まずは労働者派遣事業報告書の作成に必要な資料を用意しましょう

期日までに正しい労働者派遣事業報告書の作成が必要だ、とわかったところで、必要な資料を確認していきましょう。

【直近の決算報告書】
労働者派遣事業報告書には事業の売上報告欄がありますので、その欄を記入するためには決算報告書が必要です。
請負事業も行っている場合には、派遣と請負をわけて売上報告をしなければならないため、それぞれ把握しておくようにしましょう。

【労働者派遣事業個別契約書】
労働者派遣事業報告書には、登録している派遣スタッフの人数、その中で有期雇用・無期雇用数、日雇いの人数、それぞれがどの程度の期間働いているのか、どの職種に従事しているのかなど細かく内訳を記載しなくてはなりません。
自社で登録している派遣スタッフの契約内容はすべて確認できる状態にしておきましょう。

【雇入れ時又は配置転換時の安全衛生教育実施記録】
安全衛生教育において、どの内容を、誰に対し、どのくらいの時間をかけたのかを記さなければなりません。
そのために、労働者派遣事業報告書の作成時には実施記録を用意しておきましょう。

【派遣元管理台帳(キャリアアップ教育、雇用安定措置)】
労働者派遣事業報告書では、キャリアアップに関するどのような教育を、誰に対しどの程度実施したのかを明記する必要があります。
それに伴い、キャリアコンサルタントの人数など、だれが責任を追って教育指導を行ったかも報告する必要があります。
また、派遣スタッフの雇用が継続できるよう派遣元は措置を講じる義務があるため、その実施状況についても記載が必要です。

【その他の教育訓練実施記録】
上記以外にも、派遣スタッフに対して教育を実施している企業であれば、その内容を労働者派遣事業報告書に記載しておきましょう。

【総勘定元帳(派遣先事業主取引額確認の為)】
主な派遣先事業主を記入する項目には、取引額上位5社の社名と住所を明記する必要があります。
どの企業とどの位取引があるのかを把握するため、総勘定元帳を準備しておきましょう。

【派遣料金請求書】
業種ごとの派遣賃金を明記する必要があるため、それぞれの派遣料金が把握できるよう請求書も準備が必要です。

【雇用保険・社会保険通知書等】
派遣スタッフの雇用保険・社会保険の加入状況も記載が必要です。
労働者派遣事業報告書では、それぞれ雇用見込み期間が1年以上・1年未満、有期・無期とわけて記入する仕立てになっているため、加入状況がわかる書類を準備しておきましょう。

労働者派遣事業報告書の作成におけるチェックポイント

必要書類が揃ったところでようやく労働者派遣事業報告書の作成に入れます。
もちろん、報告書は事実に則り記載するものですが、労働者派遣事業報告書を提出することで、何をチェックされているかを理解しておくことをおすすめします。
以下にチェックポイントを上げましたが、これらはできていない場合には、労働局から指導が入る可能性があります
正しく派遣事業を行うための項目ですので、労働者派遣事業報告書のタイミングで、自社の事業をあらためて見直していきましょう。

禁止業務に派遣していないか?

人材派遣では、人材派遣できない禁止業務があります。
例えば港湾運送業務、建設業務、警備業務、医療関連業務、弁護士・社会保険労務士等がそれに該当します。
ただ、条件次第では派遣可能になる場合もあるため、細かい条件を確認しながら、問題ない業務に派遣できているかどうかを見直してみましょう。

日雇派遣の原則禁止に該当する派遣をしていないか?

日雇派遣では基本的に禁止ですが、一定の条件を満たした人、もしくは業種のみ日雇派遣をすることができます。
該当する条件の一部を見てみましょう。

【日雇派遣が可能な人】
・60歳以上
・雇用保険が適用されていない学生
・年収500万円以上で副業として日雇派遣をする人
・世帯年収が500万円以上でその主たる生計者ではない人

【日雇派遣が可能な業種】
・ソフトウェア開発
・機械設計
・事務用機器操作
・通訳、翻訳、速記
・秘書
・ファイリング
・調査
・受付、案内
・広告デザイン など

上記以外で日雇派遣を行っていないか、いま一度確認しておきましょう。

グループ企業への派遣割合を守っているか?

大手企業の子会社として人材派遣会社を営んでいる場合、グループ企業への人材派遣がメインとなります。
しかし、労働者派遣法ではこの割合を8割以下にすることが義務付けられています
該当する企業は、この割合も必ず確認しておきましょう。

適切な情報提供を行っているか?

派遣会社は、派遣先企業および派遣スタッフに対し、正しい情報を提供しなければなりません。
派遣先企業に対してはマージン情報の開示、派遣スタッフに対しては、適切な仕事を選択できるよう必要情報を伝える必要があります。
これらが正しく行われているかどうかもチェックしましょう。

抵触日に違反していないか?

個人単位および事業所単位の抵触日も、期日をすぎて働いている状況にないか確認が必要です。

【参考】抵触日管理について:
人材派遣における抵触日とは?抵触日管理にはシステムを活用しよう

雇用安定措置を実施しているか?

3年以上の勤務を希望する派遣スタッフに対し、適切な対応が取れているがどうかもチェックされるポイントです。
直接雇用への機会提供や、別の派遣先だとしても派遣スタッフの能力を活かせる企業を提供する努力など、日々の対応も見直していきましょう。

キャリアアップ教育を実施しているか?

人材派遣であっても、派遣スタッフのキャリアアップ支援を行わなければなりません。
具体的には以下の条件を満たす必要があります。

  • 派遣スタッフのキャリアアップを念頭におき、段階的かつ体系的に教育訓練の計画を定めている
  • キャリアコンサルティングの相談窓口を設けている
  • キャリアアップを念頭においた派遣先の提供を行うよう規定されている
  • 入社後、最初の3年間は年1回以上機会を提供する
  • 1年以上雇用する見込がある場合とフルタイムの場合には、年間8時間機会を提供する
  • キャリアアップ計画を周知する

労働者派遣事業報告書の中では、具体的に何時間キャリアアップ教育を行ったのかを記載する項目もあるため、違反しないよう都度確認しておきましょう

労働条件、就業条件、派遣料金の説明を適切に行っているか?

人材派遣として契約する際には、勤務時間・残業代や各種手当などの条件・時給や月給などの給与面について、すべてを派遣スタッフが理解できるよう説明しなくてはなりません。
そのうえで合意を取り就業開始になることが大前提とですので、細かい項目もしっかり説明するようにしましょう。

社会・労働保険の加入手続きを行っているか?

各種保険の手続きも正しく行わなければ違反となります。
保険の種類によって加入の有無が変わってくるため、間違いのないよう確認しましょう。

【社会保険(健康保険・厚生年金保険)】
2ヶ月以上の契約期間を前提に、週に30時間以上、1ヶ月で15日以上勤務する場合には健康保険・厚生年金保険の対象となります。
また、厚生年金保険の場合には70歳以上の方は対象外となるため注意しましょう。

【労働保険(労災保険・雇用保険)】
労災保険は、条件なしにすべての派遣スタッフが加入対象となります。
一方雇用保険には年齢・働く期間によって加入の有無が変わり、対象年齢は65歳以下、1週間の労働時間が20時間以上であり、かつ31日以上雇用されている方が加入対象となります。

上記に加え細かな条件も他にあるため、雇用の際はしっかり確認するようにしてください。

必要な資料も、チェックポイントもたくさんあって大変!それならSTAFF EXPRESSを使ってみませんか?

ここまで、労働者派遣事業報告書における確認事項をまとめていきましたが、これらをマンパワーで行おうと思うとかなり大変な作業です。
そのため労働者派遣事業報告書のまとめ作業にストレスを感じる担当者も多いでしょう。
そこで活用してほしいのが「STAFF EXPRESS」です。
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「STAFF EXPRESS」では日々登録した情報を元に、自動的に労働者派遣事業報告書にはきだしてくれるため、イチから労働者派遣事業報告書を作成する必要はありません。
では具体的にどのようにして労働者派遣事業報告書が作成されるのか見ていきましょう。

【会社名・代表者名・住所】
マスタデータから会社の基本情報が自動反映されます。

【請負事業の実施】
「請負」として受注登録がされており、それが労働者派遣事業報告書の報告対象期間だった場合で、1件以上データが存在する場合に「有」と表示されます。 

【派遣および請負の売上高】
労働者派遣事業報告書の報告対象期間における請求計算済の売上金額が反映されます。

【派遣スタッフ数・日雇派遣スタッフ数】
労働者派遣事業報告書の報告対象期間末日までに勤務実績が一件でもある人数が自動算出されます。
また、業務別の人数も割り出されます。

【派遣先事業所数】
こちらも労働者派遣事業報告書の期日までに実績がある人数が算出されます。

【主な派遣先事業主】
請求済の売上実績から、対象の5社を自動で抽出します。

【雇用安定措置の実績・対象者数】
定義に基づいて実施した人数が自動換算されます。

【安全衛生教育・その他の教育訓練】
該当の教育実施として登録したデータが自動的に反映されます。
「(教育実施ごとの時間1×スタッフ人数)÷ 教育を受けたスタッフ」として、一人あたりの実施時間も算出されます。

【派遣料金】
職業ごとに、1日8時間あたりの売上金額から算出されます。
また、予め「有期」「無期」を設定しておくことで、これらも自動で振り分けられます。

【派遣スタッフ・日雇スタッフの賃金】
職業ごとに、1日8時間あたりの支払い金額から算出されます。
日雇の場合には、業務(政令)種類ごとに算出されます。

【キャリアコンサルティングの実施】
マスタデータから全スタッフの人数を算出、その中でキャリアコンサルティングの実施人数も自動抽出されます。

【雇用保険および社会保険の加入実績】
労働者派遣事業報告書の提出期日までに加入している実績が反映されます。

上記は登録内容の一部になります。
「STAFF EXPRESS」では、労働者派遣事業報告書に記載の必要なすべてのデータが登録されているため、とても簡単に労働者派遣事業報告書を作成することができるのです

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まとめ

労働者派遣事業報告書とは、派遣事業にとって非常に重要なものです。
年に1回の報告なので、何とかなると思う方もいるかもしれませんが、1年間の実績を労働者派遣事業報告書に正確に漏れなく記載することはかなりの労力を要します。
「STAFF EXPRESS」を利用することで、上記の手間を各段に減らし、かつ記入ミスも減らすことができます。
毎年の作業にストレスを感じる場合には、ぜひ「STAFF EXPRESS」の利用を検討してみてください。