人材派遣業の今後。将来性はあるのか?生き残りのために備えるべきこと

2021年7月29日

新型コロナウイルスの感染拡大により、働く人々の生活様式・働き方が今までとは違った新しい形になってきています。
実践可能な業界では在宅勤務が導入され、今後もオフィスワーカーの在宅勤務が奨励されています。
このような状況の中、人材派遣の業界においても雇用が揺らいでおり、今後様々な視点から事業の将来性を検討していく必要があるでしょう。
そこで今回は人材派遣の今後と、生き残りのためにできることについて紹介していきます。

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コロナによる人材派遣業への影響

2020年の新型コロナウイルスによる感染拡大は、世界経済に非常に大きい打撃を与えています。
今後しばらくは、経済全体が縮小傾向にあることから、人材派遣の業界においても他の業界と同様に、何らかの影響を受け続けることが予測されます。
実際、求人の倍率が低下していることや企業の活動が一部停止していることなどから、今後も業界によっては、収益や需要が減少することが考えられます。
人材派遣業の業界では、様々な分野での求人があるため、一概に全ての分野で収益や需要が減少しているわけではありません。
しかし今後の営業の自粛や人経費の削減によって、業界によっては収益の減少が予測されています。

人材派遣業全体では収益減少の傾向

まず人材派遣の業界全体で見ると、今後は、収益が減少する傾向にあるようです。
2020年5月に発行された「株式会社xenodata lab.」のレポートによると、人材派遣・人材紹介の減益の可能性は「-131.10」との数値が出ています。
「-100」が「10パーセントの減益」に相当するとのことですので、人材派遣・人材紹介では、およそ13パーセントの減益が予測されています。
これは先にも述べたように、新型コロナウイルスが世界中に蔓延しており、世界中で経済全体が低迷し、縮小傾向にあるためです。
さらに今後は、人材派遣の分野によって、減少や増加が分かれるとのデータもあります。

飲食業、小売業、イベント業などは人材の需要減少の傾向

まず飲食業、小売業、イベント業についてです。
先の「株式会社xenodata lab.」のレポートによると、人材派遣・人材紹介における得意先業界への影響について、外食は「-182.5」、百貨店は「-117.8」、生活関連サービスは「-92.16」との数値が出ています。
また、人材派遣・人材紹介における仕入れ先業界への影響については、広告・イベント業は「-41.98」との数値が出ています。

2020年4月の緊急事態宣言の発動により、レストラン・居酒屋・カフェなどの飲食業は、数ヶ月間、営業そのものを自粛する必要があり、休業を余儀なくされる店舗が多数ありました。
そして緊急事態宣言が解除された後も、以前の固定客が戻ったとは言い難く、今後も経営難が予想されるため、これらの分野における人材派遣の需要は減少するものとされています。

次にデパートやスーパーなどの小売業については、自粛期間中には、食料品の分野のみを営業し、他の商品については休業したり、営業時間を短縮したりするなどの対策が取られました。
今後も、当面は営業時間を短縮するなどの対策が取られ、この分野での人材派遣についても、需要は減少するものと予測されています。

イベント業に至っては、特に大きな打撃を受けています。
実際2020年3月以降は、国内・国外で予定されていたプロ野球、Jリーグ、コンサート、ライブ、企業説明会、セミナー、お祭り、大会、コンクール、コンテストなど、様々なイベントが相次いで中止となっています。

これらの事業は、新型コロナウイルスの終息が予測されていない中で、今後も殆ど見通しが立っていない現状です。
従ってイベント業界でのイベントやプロモーション、展示会などへの人材派遣についても、今後しばらくは需要の減少は継続するでしょう。

医療や物流は人材の需要増加の傾向

一方、医療や物流の分野では、人材の需要は増加する傾向にあるとの数値が出ています。
今後は、さらに日本の新型コロナウイルス感染入院患者数の増加が見込まれるため、先の「株式会社xenodata lab.」のレポートにおいて、看護師向けの人材派遣の需要は「+19.40」(中期)、コールセンターの需要は「+27.90」と、いずれも増加傾向の数値が出ています。

医療分野では待合室が混雑しないように、診療エリアを一般診療とコロナウイルス診療とに分けるなどの対策をしているものの、今後も、特に診療時間が短縮されるなどの措置が取られることはないでしょう。
実際、新型コロナウイルスの感染者は確実に増えていることから、今後も、病床の確保や患者のケアなどで医療関係者の人材派遣は、しばらくは増加が継続すると予想されます。

また物流の分野においても、緊急事態宣言が解除されてもなお、外出を控える傾向にあることから通信販売などの需要は高くなっています。
そのため、今後も物品の配送や倉庫の管理などに人員の確保が必要とされることから、物流業界の人材派遣でも需要は増加すると予測されています。

登録スタッフは増加させるチャンス

このように、人材派遣の業界全体で需要の減少や増加が混在する傾向にあることから、人材派遣の業界においては、ある意味で今後に備えて登録スタッフを増加させるチャンスであると言えます。
新型コロナウイルスで、分野によってダブついている可能性の高い優秀な人材に登録してもらい、今後、経済が回復した後に本領を発揮できるようにしておくというわけです。

人材派遣業の将来性 

次に今後、人材派遣の業界に将来性があるか、について考えてみましょう。
少なくとも現時点では未だ新型コロナウイルスの終息に見通しがつかず、経済全体が縮小傾向にあります。
そのため今後も、人材派遣の分野での競争は激しく厳しいものとなることは否定できません。
しかしワクチンなどにより新型コロナウイルスが終息し、世界経済が回復してくれば、「業種による」という制限はあったとしても、今後、人材派遣の需要を伸ばす機会はある筈です。

また、この厳しい時期において、どうしても事業を畳まざるを得ない人材派遣会社も出てきてしまうことでしょう。
しかし、もし生き残ることができれば、経済回復後に以前は多数の会社で奪い合ってきた人材や派遣先のパイを、生き残ることができた少数の人材派遣会社が獲得することになります。
つまり、回復後はコロナ以前よりも事業を拡大させられる可能性があるともいえるのです。

従って人材派遣の会社が今後生き延びていくために、需要が高い業種に優秀で適切な人材を派遣できるよう登録スタッフを増やすことは、極めて重要なことなのです。

人材派遣の会社が今後に向けて今できること

人材派遣の会社が、今後に向けて今できることを考えてみましょう。
飲食業、イベント業、小売業などへの登録スタッフを多く抱えている人材派遣の会社は、今回の新型コロナウイルスの影響による派遣切りなどを受け、減益となっているケースもあるでしょう。
しかしこのような時だからこそ、人材派遣の会社は、今後の新型コロナウイルスが終息した時に備えて様々な観点から検討し、できることを実践するという姿勢が重要です。

登録スタッフの新規採用 

ず人材派遣の会社が今後に向けて最初に出来ることは、登録スタッフの新規採用を増やすことです。
人材派遣業の今後が厳しくなりそうだというのに積極的に採用することに矛盾を感じるかもしれませんが、いまこのタイミングだからこそ求職者が増え、採用のチャンスともいえます。
採用したものの派遣する先がなければ採用の意味はありませんが、あまり影響を受けていない業界に派遣できれば問題ありません。
新型コロナウイルスが長期化していることもあり、様々な業界で今後に向けた対策が取られています。
例えばイベント業では、YouTubeを含めてオンライン配信によるサービスの提供なども開始されつつあります。

また、新型コロナウイルスが収束するまでは、一連の登録の手続を全てオンラインで完了できるようなシステムを準備することが有効です。
コロナ禍で失業し、働く意欲があるものの未だに定職に就くことができずに時間を持て余している人も決して少なくありません。
人材派遣の会社は今後収束の見通しが立ち、需要があった際に迅速に派遣できるよう、オンラインで登録できるシステム環境を整えておくことが重要です。

既存顧客の満足度向上

現在は残念ながら人材派遣の業界で顧客を増やすには、厳しい状況にあります。
そのため既存顧客の満足度が向上するよう、人材派遣の会社は、今後より一層サービスの充実を図っていくことが求められています。
人材派遣の会社を利用する際、既存顧客は、大きく下記4つの項目で評価しています。

  1. 利用がしやすいか
  2. 担当者の対応は良いか
  3. 紹介案件での登録スタッフの質は高いか
  4. 案件における交渉力があるか

当面は低迷する可能性のある人材派遣の業界において、今後も生き延びていくためには、これらの評価項目で既存顧客を継続して満足させているかどうかを確認する必要があります。

派遣先業種の拡大

人材派遣の会社が出来ることとして、今後に向けて派遣先の業種を拡大できるかどうかを検討することも重要です。
人材派遣の業界によっては、技術や知見の有無によって、仕事の成果が大きく変わるような専門性の高いものがあります。
専門性の高い仕事では、同じ業務を依頼した場合に、その人のスキルや経験が仕事の仕上がりに大きく影響します。
顧客となる企業は、人材派遣の会社によって得意な業種があるため、業種によって依頼を使い分けることがあります。
また、昨今ではビジネスの形態が日々変化し、そのスピードが高まっていることもあり、顧客となる企業から、新たに立ち上げた事業部門に適した人材を早急に集めたいなどの声もあるでしょう。
そのため、今後の人材派遣業界では、専門性に加えて、顧客である企業の多様化するニーズに柔軟な対応ができるようにすると良いでしょう。
さらに今回の新型コロナウイルスで明らかなように、分野や業種によって、今後人材派遣のニーズが減少したり需要が増加したりする可能性もあります。
今だからこそ人材派遣の会社は、今後どの業種で派遣先を拡大できるのかを検討すべきです。

業務効率化の推進 

最後に、今後に向けてできることは、人材派遣の会社として業務の効率化を推進することが挙げられます。
人材派遣の会社では、登録スタッフのケアやクライアントとなる企業のニーズへの適切な対応に加え、新規募集の採用への対応など、様々な業務を行う必要があります。
実際、登録スタッフと派遣先企業のパイプ役としての役割を担うため、デリケートで複雑な業務も少なくありません。
もし登録スタッフが人材派遣の会社に満足しなければ、優秀な人材の登録が減少し、適切な登録スタッフを顧客となる企業に派遣することができません。
一方、人材派遣の会社が、顧客となる企業に満足してもらえなければ、どんなに優秀な登録スタッフが多くても、派遣することができなくなってしまいます。
今後、そのような事態にならないためにも、人材派遣の会社では登録スタッフに関する勤怠処理だけでなく、様々なサービスを一括して管理できるようにしておくことが大切です。

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STAFF EXPRESSなら業務の質向上につながる

そのような人材派遣会社が、今後、自社の業務効率を高め、質の向上を図る際におすすめしたいのが、弊社が提供するSTAFF EXPRESSです。

「STAFF EXPRESS」とは、人材派遣の管理、人材紹介の管理、業務請負の管理などを一括して行える総合パッケージシステムです。一般派遣、正社員派遣、常用型派遣、技術者派遣、無期雇用派遣などに対応しています。
特に、新型コロナウイルスの影響で「対面」や「密」を避ける必要がある今、この「STAFF EXRESS」を導入することで、様々なサービスをクラウドで一括して行うことができます。
もちろん、今回の新型コロナウイルスなどによって避けられない市況の変化にも、柔軟に対応できます。

ここからは、具体的にシステムの概要を説明しましょう。
STAFF EXPRESSに包括されるシステム・サービスは、大きく分けて下記の4つです。

  1. 派遣先や紹介先向けの業務クラウドサービス
  2. 人材派遣の会社の人材ビジネス向け業務管理システム
  3. 新規応募者向けの募集採用クラウドサービス
  4. 派遣スタッフ向け就業クラウドサービス

「STAFF EXPRESS」を導入すると、これらの4つのサービス・システムが連動し、下記の7つの業務を一括して行うことができます。

1)スタッフマスタ
顔写真や住所、学歴、職歴などに加えて、教育受講、家族構成、健康診断、保険関係、単価など、スタッフに関する情報を細かい項目での管理、および、操作しやすいスタッフ検索

2)得意先・営業
人材派遣の顧客となる企業先の住所、与信、請求情報、入金、担当者などの情報の一括管理

3)受注
人材派遣、人材紹介、業務請負、業務委託などの人材ビジネス全般のオーダーの一元管理

4)配置
多様なオーダースタイルに対応できる人員の柔軟な適正配置、および、人員配置状況・稼働可能人員状況の確認

5)コンプライアンス(契約):
オリジナルの法令書類とパターン出力による人材ビジネス全般の契約・通知・台帳管理の徹底管理

6)勤怠
勤怠の入力・確認・集計業務のスリム化、および、勤怠の改修状況の確認・改修指示の実現

7)仮払
登録スタッフに対する給料日前の福利厚生サービスの対応

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まとめ

新型コロナウイルスは、様々な業界に大きく影響を与えており、現時点では終息の見通しがつかないことから、どの業界も今後どうすべきかについて頭を抱えていることでしょう。
人材派遣の業界では、今後に備えて自社の登録スタッフを増やし、既存の顧客を大切にし、派遣先の業種を拡大することができるかどうかで、将来が大きく左右されます。
ピンチとチャンスにできないか、工夫できる点を見つけていきましょう。