人材派遣における契約の電子化がついに解禁!電子化への対応方法は?

2024年1月18日

派遣先との契約の電子化が令和3年1月1日解禁されました。これは人材派遣業界にとって朗報でしょう。
解禁を受け、人材派遣会社の中には書類の電子化ができるように整備した企業も少なくないのではないでしょうか。
一方、従来通り書面での契約を続けながら電子化への対応を検討しているという企業もあるでしょう。
どちらにしても、契約を電子化するための対応方法を知っておくことは、今後起こると予想されるビジネススタイルの変化に順応するためにも必要なことです。
ここでは、契約の電子化に向けて、人材派遣会社が把握しておきたい情報についてお伝えします。

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人材派遣における労働者派遣契約がついに電子化

人材派遣会社と派遣先で結ばれる労働者派遣契約の電子化に向けて、省令改正案が市民からの意見を参考に意志決定を行うパブリックコメントにかけられ、結果、派遣先との契約に関する書類の電子化が認められることになりました。
2020年9月18日に「『労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱等』について」を議題として、労働政策審議会が開かれ、決まった内容の公布が2020年10月、施行は2021年(令和3年)1月1日となったのです。
議論の中で、「労働者派遣契約については、省令上、「書面に記載しておかなければならない」こととされているが、書面保存に係る事業者負担が大きいことから、電磁的方法による保存を認めることが適当である」という人材派遣会社側の負担を軽減するための対応が必要という意見が生まれ、電子化対応の決定が下されました。

現在、派遣スタッフとの契約に関しては、人材派遣会社も派遣先も電子化が認められています。また、派遣元管理台帳、派遣先管理台帳も電子化が認められていました。
ところが、人材派遣会社と派遣先との労働者派遣契約だけは、契約内容を「書面」に記載することが義務付けられているので、電子化された書類は不可とされてきたのです。

また、人材派遣において派遣スタッフは、雇用期間が最大で3年と定められていることから、契約の更新ごとに契約書を作成しなければなりません
契約手続きの途中で、一部でも変更が生じた場合や契約の際に不備が見つかった場合、書類の修正が必要となるため、印刷・捺印・郵送などの手順を繰り返すことになります。
人材派遣業界ではこのような煩雑な作業が多くなりやすく、修正時などの作業を効率化するためにも、人材派遣会社と派遣先との間で結ぶ契約書の電子化について要望が高まっていました。

法令・省令では契約内容を書面で記載することが義務付けられていますが、契約の作成に関しては義務がありません。
このことから「印刷できる状態であれば電子化を認める」といった柔軟な対応をとる自治体も存在しているようです。
一方で、厚生労働省は「契約の電子化は認めていない」という姿勢を示しており、政府と自治体の考え方に相違があることから、書類の電子化に関して人材派遣業界では混乱が生じていました。
こうした流れを受けて、厚生労働省は労働者派遣契約の完全電子化に向けて動き出し、令和3年の派遣法改正の内容に派遣契約書の電子化が組み込まれました
今から施行日までに契約の電子化に対応するには、数ヶ月で環境を整える必要があります。
まだ電子化に対応しきれていない人材派遣会社の方は、ぜひこの記事を参考に電子化のメリットを知り、電子化への対応をご検討ください。

人材派遣における労働者派遣契約を電子化するメリット

人材派遣業界では労働者派遣契約を電子化すると、コスト面・業務効率の面で多くの利点があります。
ここでは、「コストの削減」「工程数の削減」「情報へのアクセス」について考えていきましょう。

コストを削減できる

電子化の大きなメリットは大幅なコストカットが見込める点です。
人材派遣の契約更新にかかるコストは、印刷用紙、郵送代、封筒などの消耗品に加え、印刷機を使うためのインクやトナー、レンタル費用または購入費用などがあげられます。
さらに、書類の準備やダブルチェックだけでなく、契約書の締結後は書類を保管するためのファイリング作業にも人件費がかかるといえます。
また、契約に関する書類は7年間の保管義務がありますので、その保管期間の長さを考えると、人材派遣会社にとって保管場所にかかる費用は軽視できないのではないでしょうか。
このように、印刷費・郵送費・消耗品費・保管費などの費用をカットできる点は、電子化の利点といえるでしょう。

契約内容の提示を行う際の工数を削減できる

人材派遣会社と派遣先がやり取りする書類は、『労働者派遣個別契約書』と『労働者派遣基本契約書』の2種類があります。
労働者派遣個別契約書とは、派遣スタッフごとに人材派遣会社と派遣先が結ぶ契約です。
労働者派遣基本契約書とは、人材派遣を行うにあたっての基本的な内容を取り決める契約のことです。
個別契約だけでも契約を結ぶことは可能ですが、基本契約の内容をすべて記載しなければなりませんので、人材派遣会社としては基本契約を別途、締結しておいた方がよいでしょう。
これらの契約期間は「原則3年まで」と決められています。
人材派遣会社は派遣先や派遣スタッフと3年以下のペースで契約更新をすることになりますので、契約更新頻度の高さがわかります。

ここで改めて、契約に関する書類を電子化せず、従来のやり方で契約を結ぶまでの手順を確認しましょう。

  1. 2部印刷
  2. 製本
  3. 捺印申請
  4. 送付状作成・梱包
  5. 郵送
  6. 郵送の確認メール
  7. 派遣先からの返送待ち
  8. 返送された契約書の不備の有無を確認
  9. 保管

契約書に不備または変更があれば、最初からやり直しになります。
これに加えて通知書などをやり取りもしなければなりませんので、これらすべてが電子化できると、作業工程数が大幅に削減できるといえるでしょう。

情報へのアクセスが容易になる

人材派遣における労働者派遣契約を電子化する大きな利点は、いつでもどこでも書類の確認ができるというところです。
作成した文書をメールやチャットなどで派遣スタッフと共有することで、人材派遣会社の社員も派遣スタッフも、場所や時間を問わず確認・承認・署名ができるようになります。
より一層スピード感をもった契約書の作成を考えるのであれば、人材派遣会社の社員と派遣スタッフがオンライン上で会議をしながら書類を作成し、そのまま署名まで済ませるという方法もあります。
このように、契約書の電子化によってインターネットのフル活用が可能となりますので、今まで1~2週間かかっていた労働者派遣契約を「わずか1日で終わらせる」ことができるかもしれません。
契約業務を効率化することは、その他の業務に割ける時間を作ることになるので、書類作成の電子化は、生産性の向上が期待できます。

 

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契約の電子化に対応するには?

契約書を電子化するためには適切なシステムを入れることが大切です。
人材派遣会社は電子化による利便性だけでなく、電子化によって起こると予想される偽造・改ざん・情報漏洩のリスクについても考慮しなければなりません
自社で書類を電子化するシステムを作ることも可能ですが、利便性や安全性を高めるためにも人材派遣管理システムを導入することがおすすめです。
ここでは、電子化に対応するために把握しておきたい外部システムについてご紹介します。

人材派遣管理システム

人材派遣会社が自社で書類を電子化することによる手間・コスト・リスクを考えると、人材派遣管理システムの導入は、利便性やリスク管理の観点からメリットが大きいです。
人材派遣業界は、法律の変更が頻繁に行われる業界でもあります。
労働者派遣法は1986年に施行されてから何度も改正されており、細かい内容の変更では省令改正が行われます。
その都度、法令・省令の変更点を確認し、違反がない契約書を作成しなければならないことを考慮すると、自社でシステムを構築するよりも外部の専門家に任せる方がトータルコストは抑えられると考えられます
また、多くの人材派遣管理システムは、自由にカスタマイズすることができますので、書類の管理・送受信などのシステム環境の整備が容易です。

人材派遣管理システムを導入すると、契約に関する書類の作成から契約締結・保管管理までパソコン1つで完結できるようになります
例えば、契約書と派遣スタッフの情報を連携させてフォルダ管理が可能ですので、業務の効率化だけでなく抜け・漏れなどのミスを防ぐことにつながります。
さらに、クラウド上で管理できるようになると、在宅勤務や外勤、出張などのどんな場面でもインターネット環境さえあれば、クラウドにアクセスするだけで情報を共有できます。
クラウド上で管理すると、アクセスログの管理もできるようになるので「いつ・どこで・だれが・何をした」がわかります。
アクセスログの管理は、契約の電子化による情報漏洩のリスク管理としても機能するので、安心を第一に考えるのであれば、人材派遣管理システムはおすすめのサービスです。
このように人材派遣管理システムを利用することは、業務の効率化や質の向上につながることがメリットといえるでしょう。

電子署名システム

契約書を電子化する上で懸念される点が、契約内容の改ざん・偽造のリスクです。
今までは、「契約書の原本」が改ざんされていない正式な契約という証明でした。
ところが、電子化された書類は複製できることから、原本の証明を行うことができません。

そこで、導入しておきたいシステムが電子署名システムです。
電子署名とは、電子化された契約書が、正式に契約された文書で改ざんされていないことを証明するものです。
「文書を本人が確認したこと」「PDF文書の改ざん防止やセキュリティ強化」を目的としています。

この電子署名を行うためには電子証明書が必要です。
電子証明書とは個人・法人の存在や信頼性などをインターネット上で保証するもので、認証局(CA)に申請することで発行されます。
さらにタイムスタンプを利用することで、電子化した書類がその時刻に存在していたという証明ができます。
このように、電子化された契約書は、電子証明書・電子署名・タイムスタンプにより「原本の証明」が可能になります。
総務省のホームページでも電子署名・タイムスタンプについて詳しく紹介していますので、是非、参考にしてください。

 

契約の電子化に役立つ人材派遣管理システム「STAFF EXPRESS(スタッフエクスプレス)」

弊社が提供する人材派遣管理システム「STAFF EXPRESS(スタッフエクスプレス)」は、人材派遣サービスに関わるすべての業務を電子化し、クラウド上で網羅できる、オールインワン型のシステムです。派遣契約の電子化を含む、令和3年の派遣法改正にも対応できるよう機能更新を行っております。

<セキュリティ対策>
エスアイシステムは情報セキュリティマネジメントシステム(国際規格ISO27001)を取得し、情報の機密性、完全性、可用性を維持して、リスクを適切に管理するマネジメントサイクルを継続的に実施しています。
人材派遣会社と派遣先が利用するクラウドサービスとして、安心安全の取り組みが実施されています。

<電子保存要件を網羅>
令和2年10月から改正された電子帳簿保存法のデータ保存要件には、「受領者がデータ改変できないシステムの利用」があり、STAFF EXPRESS(スタッフエクスプレス)、STAFF EXPRESS PARTNER(スタッフエクスプレスパートナー)、STAFF EXPRESS NEO(スタッフエクスプレスネオ)のいずれもこれらの保存要件を満たしております。

スタッフエクスプレスから照会された契約書等はPDFとして公開されます。
公開する契約書等は「同意」が必要かどうかを事前設定することができます。
同意を必要する場合は同意チェックボックスが表示され、同意チェック後は同意日時が保管されます。

同意された後は、データ改変がされないようにスタッフエクスプレスでロックがされます。
修正や誤りがあった場合は、「訂正削除等コメント」を入力の上、再度、アップロードすることができます。

この場合、自動的に版数がカウントアップして、以前に同意したものを残しつつ新しい契約書等を公開することができます。

一度同意が取れた契約書等は、改変がされないように維持されつつ版数管理が自動的に行われることで電子保存要件を満たしています。

 

サービスサイトではこのほかにもSTAFF EXPRESS(スタッフエクスプレス)についての詳細をご紹介しています。

STAFF EXPRESS(スタッフエクスプレス)の詳細はこちらからご覧ください

まとめ

令和3年1月1日から人材派遣会社と派遣先の契約でも電子化が解禁されることが確定しました。
この省令改正によって人材派遣会社の多くが、契約の電子化による業務の効率化を期待しているでしょう。
しかし、同時に漏洩・改ざん・偽造に対するリスク対策も意識しなければなりません。
「STAFF EXPRESS(スタッフエクスプレス)」は人材派遣サービスに特化しており、初心者でも安心して利用できる利便性を追求しています。
わかりやすくて使いやすい、さらにリスク対策も兼ねたクラウドサービスを提供する「STAFF EXPRESS(スタッフエクスプレス)」、ぜひ電子化解禁を機に導入をご検討ください。