人材派遣における同一労働同一賃金は何をもたらすのか?派遣会社や派遣先、派遣スタッフに求められることは?

2020年3月18日

人材派遣における同一労働同一賃金。
施行が迫っている今、その対応に追われている人材派遣会社や企業は多いのでないでしょうか。
同一労働同一賃金が施行されれば、人材派遣会社も、派遣スタッフも、契約している企業も、それぞれ状況が変わります。

では「同一労働同一賃金」によって、一体どのような変化が起こるのでしょうか?
人材派遣に関わる企業やスタッフにはどのような対応が求められるのでしょうか?
詳しく見ていきましょう。

人材派遣の同一労働同一賃金とは?

まずは人材派遣の同一労働同一賃金について、制度内容をご説明します。
労働に従事する人が正社員でも派遣スタッフでも、労働内容が等しいのであれば、賃金も等しくしましょう、というのは同一労働同一賃金です。
2020年4月からスタートされ、対象となるのは「基本給」「賞与」「各種手当」「福利厚生・教育訓練」です。
派遣スタッフなどの非正規雇用者は、上記の項目を十分に授受できていない場合がありましたが、同一労働同一賃金が施行されれば、正社員同様の待遇を受けられるようになります。
給与面だけではなく、例えば人材派遣スタッフの交通費も支払われるようになったり、福利厚生も同様に受けられるようになったりと、出来るだけ格差を無くすような取組内容です。
もちろんやみくもに揃えるわけではなく、「同じレベルの業務を行う場合に」という前提はありますので、しっかり正しく運用されれば、労働者間の公平性を保てる制度といえるでしょう。

人材派遣に同一労働同一賃金を適用する理由とは?

ではなぜ同一労働同一賃金を実行することになったのでしょうか?
それには、格差是正や働き方改革などの社会的背景があります。
社会で働く人々に、より良い環境を提供することを目指しており、まったく同じ仕事を行っている正社員と非正規社員で待遇に差が出ることのないように、仕事の内容に応じた納得のできる賃金を受け取れるよう改善していこうというものです。
また、このような賃金の底上げによって消費を促すことや、給与が上がることで有能な外国人労働者を獲得しやすくなる、などといった狙いもあると言われています。

人材派遣で同一労働同一賃金が守られない場合はどうなる?

多くの企業が同一労働同一賃金に対応していくことになるでしょうが、では同一労働同一賃金を無視した場合には、何か罰則があるのでしょうか?

実は、守らなくても法的な罰則はありません
ただ、罰則はないものの「労働者を正当な労働環境で働かせていなかった」ということを理由に訴えられる可能性は考えられます。
実際に、上記の理由で過去裁判になり、労働者が勝訴したというケースもあるため、人材派遣に限った話ではありませんが、企業は正しく従業員を雇用するよう努めましょう。

また、同一労働同一賃金が施行されることで、「雇い止め」を危惧する声も聞こえてきます。
これは、「賃金を上げざるを得ないのであれば、雇用自体を止めてしまおう」と企業が考えるのではないか、という不安からくるものです。
「元々予定していた期間が終了したため退職してもらう」というのであれば、正しく契約がなされてさえいれば、更新しないことは特に問題ではありません。
しかし、「同一労働同一賃金が実施されるとコストがかかるため」という理由は正当とは言えません
もし企業に派遣している自社の登録スタッフが、同一労働同一賃金を理由に契約を更新されない場合には、以下の観点に留意しましょう。

1.契約内容の再確認
派遣先企業との契約内容や、更新の際の条件など、契約書の内容を確認しておくといいでしょう。
その内容に反している場合は、正当ではない雇用終了である可能性があります。

2.正しく手続きが行われているか
雇い止めをする際は、遅くとも30日前までには契約更新をしない旨を派遣先企業から労働者側へ伝えること、と決められています。
30日を切っているのにも関わらず突然更新なしとした場合には、正しい手続きではありません。

3.理由は正当か
もし派遣先企業が契約を更新しないことを希望するのであれば、その理由を提示する必要があります。
同一労働同一賃金を理由として契約終了とすることはできません。

このように、派遣先企業と派遣スタッフの契約継続の有無を確認する際は、契約内容や理由などしっかり確認した上で、双方とよく話し合うことをおすすめします。
仮に正当な理由なしに、例えば同一労働同一賃金の施行による雇い止めが生じた場合、それに適切に対応するのが人材派遣会社の仕事といえます。

人材派遣の同一労働同一賃金実施の流れ

同一労働同一賃金は2020年4月からスタートされますが、実はこの時期に開始されるのは大企業のみで、中規模や小規模の企業は2021年4月からの実施となります。
そのため、人材派遣会社では、派遣先企業の規模に合わせて、対応スケジュールを組む必要がでてきます
具体的にどのような対応が必要になるかというと、例えば業務内容が見直された場合には、今後の契約内容を変更する必要が出てきますし、給与等が変われば、それに伴い人材派遣スタッフへの説明や書類関係の刷新も必要になります。
それらを2020年の4月、また2021年の4月に向けて、企業ごとに実施していく必要があり、人材派遣会社は抜け漏れない対応をするための準備を行う必要があります。

では大企業、中小企業それぞれの施行タイミングにおいて、どのような流れで準備を進めていくのでしょうか。

1.給与の決め方を選ぶ
実は同一労働同一賃金といっても、派遣スタッフの給与を派遣先の正社員の給与にただ合わせるだけではありません。
派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」の2通りの方式があり、いずれかの方式に則って給与を決定します。
そのため、どちらの方式を採用するかをまずは決めなければいけません。
「派遣先均等・均衡方式」は派遣先の正社員の待遇に合わせる方式です。
派遣先が変わるごとに派遣スタッフの給与が変わるため、人材派遣会社にとっては少々手間になるかもしれませんが、派遣スタッフにとっては納得しやすく、また派遣先企業にとっても計算が簡単です。
一方で「労使協定方式」は、人材派遣会社の全登録スタッフの賃金を業務ごとに平均値を算出し、その金額を元に決める方式です。
事前に労働者代表と基準額を決めておく必要がありますが、派遣スタッフの派遣先が変更になっても業務に変更がなければ待遇の変更も起こらず、派遣会社にとっては管理が楽です。

2.現在の派遣スタッフの待遇を確認する
人材派遣会社には現状の派遣スタッフの待遇を把握する義務があります。
契約書さえ確認すればいいのでは、と思うかもしれませんが、派遣先企業との間で「確かに情報を渡した/情報を受け取った」という内容の書面を交わす必要があります。
派遣先企業にも準備が必要ですので、早めに対応すべきでしょう。

3.派遣スタッフへ変更内容を説明する
同一労働同一賃金の施行に伴い、どのような待遇の変更になるのか、人材派遣会社は派遣スタッフに説明する義務があります。
多くの登録スタッフを抱える人材派遣会社は、各スタッフへ連絡するのにも多くの時間や手間が掛かるため、こちらも早め早めの対応が重要です。

4.契約書等へ変更内容を反映させる
人材派遣会社では派遣スタッフごとに契約書等、多種多様な書類を作成・保管しています。
同一労働同一賃金によって契約内容にも変更が生じれば、おのずとそれら書類にも反映させなくてはなりません。
また、実際に賃金変更となれば、給与計算から支払までの実作業にも影響を与えます。

同一労働同一賃金のメリット

人材派遣において同一労働同一賃金がどのように施行されていくのかをご説明しましたが、手間がかかり、正直面倒な面もあるのではないかと感じた方もいることでしょう。
そこで、同一労働同一賃金のメリットとデメリットを把握しておきましょう。
メリットが分かっていれば実施する意義も見つけられますし、デメリットが分かっていれば対策を考えられます。
まずは同一労働同一賃金について、派遣スタッフ、派遣先、派遣会社それぞれにとっての良い点からご紹介します。

派遣スタッフにとってのメリット

最も大きな点では、金銭面でしょう。
人材派遣で勤務しているスタッフは、正社員に比べると給与が低いケースが多く、また交通費も支給されないパターンもあります。
そのため実施されれば、毎月の手取りが増える可能性が高いため、人材派遣スタッフにとっては嬉しい変化と言えます。
また、同一労働同一賃金では人材派遣スタッフに対しても教育の機会を設けることが求められます。
派遣社員でもスキルアップを望めるようになり、スキルが上がればより高度な仕事や、正社員登用へのトライもしやすくなるため、今後のキャリアアップにも繋げていくことができます。

派遣先にとってのメリット

上記のように、派遣スタッフの待遇が上がりモチベーションが向上することによって、仕事の成果に影響を与えることが考えられます。
企業では、従業員一人ひとりのパフォーマンスを最大化させることで、企業の業績を上げていくことができます。
同一労働同一賃金により人材派遣スタッフの生産性が向上すれば願ってもない変化でしょう。
また、派遣社員のやる気が上がることで、企業で働く他の社員にも良い影響を与える可能性もあります。
勤務形態に関わらず、従業員同士が切磋琢磨できる環境になることで、スキルも向上し、それが業績に跳ね返ることも考えられます。

派遣会社にとってのメリット

人材派遣は正社員に比べると待遇が悪い、という状況を打破するきっかけになるのが同一労働同一賃金です。
例えば派遣先の業務に合った人材派遣スタッフがいたとしても、給与が悪くマッチングができなかった場合でも、同一労働同一賃金によって時給が上がればマッチングできる可能性は大きく広がっていきます
上記のように今まで人材を派遣できなかった条件の企業にも、優秀な人材を送れることが増えてくれば、企業間の関係もより良好になっていくと考えられます。
また、派遣スタッフは安月給だと、派遣社員としての就業を敬遠していた人たちも、正社員と同等の水準になるのであれば派遣会社へ登録するハードルが下がります。
人材派遣会社では、優秀な人材をどれだけ多く紹介できるかが重要ですので、同一労働同一賃金が登録スタッフの増加につながれば、人材派遣会社の売上アップにも繋がるでしょう。

同一労働同一賃金のデメリット

同一労働同一賃金にはデメリットも潜んでいます。
デメリットも把握しなくては適切な対応がとれないため、しっかりチェックしておきましょう。

派遣スタッフにとってのデメリット

上記でも少し触れましたが、同一労働同一賃金をきっかけに、人材派遣を利用しなくなる、いわゆる雇い止めが起こる可能性はあります。
もちろん不当な雇い止めは行ってはいけませんので、企業は正しく契約をしなければなりませんが、今、契約している人材派遣は継続するものの次回以降の契約人数を絞る、もしくはこれ以上人材派遣を利用しないと考えられる可能性は出てきます。
そうすると、派遣スタッフにとっては就業機会の損失になり、これはデメリットと言えるでしょう。
また、同一労働同一賃金で「正社員」「派遣社員」の業務分掌が積極的に進められることが考えられます。
その場合、給与を上げないように派遣スタッフの業務範疇が狭くなってしまい、結果的に仕事が面白くなくなったり、以前よりもやりづらさを感じるケースが生じる恐れがあります。

派遣先にとってのデメリット

同一労働同一賃金が実施されるにあたり、派遣先企業では正社員・派遣社員の業務分掌や、人件費を見越した予算管理、それによる人材配置や人員の確保など、多方面に影響が出てきます。
もちろん派遣社員の給与が現在よりも増えるのであれば、人件費が増加して企業にとって負担になる可能性があります。
福利厚生の対象を広げたり、人材派遣スタッフへの手当を実施するとなれば、それに付随する登録作業や情報収集なども行わなければなりません。
これらの作業を行う工数や、給与変動によるコスト計算など、大きな手間が掛かってくる点は、デメリットとして考えられます。

派遣会社にとってのデメリット

同一労働同一賃金により人材派遣の給与が見直されるということは、それにより契約書の刷新や、支払い内容の見直し、場合によっては契約先の変更願いというケースも考えられます。
手続きは煩雑になり、かつ派遣スタッフへの説明作業も出てくるため、派遣会社ではかなりの工数を要します。
派遣スタッフの待遇が見直されるということは非常に良いことですが、それに付随する作業は膨大になるため、派遣会社の同一労働同一賃金への対応は大きな負担です。
とくに施行直前の時期は、年度が新しくなるタイミングと重なることもあり、忙しくなる人材派遣会社が多くなることでしょう。

人材派遣会社が同一労働同一賃金に対応するには人材派遣管理システムを活用しよう

同一労働同一賃金を実施するには、人材派遣会社の迅速で柔軟な対応が求められます。
しかし、多くの作業を誤りなく行う必要が出てくるため、非常に大変です。
そこでおすすめしたいのが、人材派遣管理システムです。

人材派遣管理システムのメリット

人材派遣管理システムであれば、スタッフ情報やクライアント情報、それに付随する契約関係などをひとつのシステムで一括管理できるため、同一労働同一賃金による契約書や給与計算などの変更にも容易に対応できます。
大幅に手間が減ること、これは大きなメリットです。

同一労働同一賃金によって変更しなくてはならない項目は多く、かつ、その影響範囲も広いため、紙でのアナログ管理ではミスの増加や管理の手間が大幅にかかってきます。
考えられる光景として、契約書上では給与を変更したものの、実際の支払い作業の際に反映されていなかった、各種手当や交通費など支払われるべきものが対応できていなかったなどがあります。

このようなずさんな対応は派遣スタッフ、派遣先企業双方からの信頼を損ねる原因になるため、人材派遣会社は慎重に対応せざるを得ず、そのために人員を増やしたり、社員が毎日残業を重ねたりするようになってしまいます。
そのような工数の増加を防ぐことができるのが人材派遣管理システムです。

STAFF EXPRESS(スタッフエクスプレス)が派遣会社にとって使いやすい理由

様々な人材派遣管理システムが販売されています。
その中でも、特に弊社が提供するSTAFF EXPRESS(スタッフエクスプレス)をおすすめしたい理由があります。

STAFF EXPRESS(スタッフエクスプレス)は、人材派遣会社の業務を一括して管理できる、オールインワンの人材派遣管理システムです。
スタッフ情報のデータベース化や取引内容の管理、勤怠のシステム連携や請求周りの処理までをこのシステム1つで完了することができます。
それぞれのデータが連携しているため、自動処理できる部分もあります。
さらに派遣スタッフと連携が取れるSTAFF EXPRESS NEO(スタッフエクスプレスネオ)や派遣先企業向けのSTAFF EXPRESS PARTNER(スタッフエクスプレスパートナー)などの付帯サービスも活用することにより、人材派遣会社の業務効率は改善していきます。
人材派遣管理システムの中には、1つのシステムで完結しないものもあり、人材派遣管理システムを導入する際はSTAFF EXPRESS(スタッフエクスプレス)のように1つで何にでも対応できる管理システムを選択することをおすすめします。

また、STAFF EXPRESS(スタッフエクスプレス)は法改正の影響を受けやすい人材派遣業で使いやすいよう、都度機能をブラッシュアップしてきました。
例えば、2019年施行の年次有給休暇取得の義務化や2018年の無期雇用転換ルール、2016年のマイナンバー法などに対応しています。
今までの改修改善、機能拡張は1万回以上にのぼり、今回の同一労働同一賃金にも対応していきます。
また、日本全国いつでも問い合わせができるサポートデスク、リモートサポートも用意しておりますので、困ったことがあればいつでもサポートさせていただきます。
導入前にデモンストレーションがありますので、そこで実際に操作したり、不明点を解消していただけますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

STAFF EXPRESS(スタッフエクスプレス)の詳細はこちらからご覧ください

まとめ

同一労働同一賃金の施行に伴い、人材派遣スタッフにも派遣先企業にも大きな変化が生じることになるでしょう。
双方を繋ぐ人材派遣会社では、それぞれの状況やニーズをしっかり見極め、臨機応変に対応することが求められます。
ぜひ人材派遣管理システムを活用して、同一労働同一賃金によって膨大な業務が発生しても乗り越えてみましょう。