就業条件明示書とは?派遣労働者に明示が必要な項目

2023年3月16日

人材派遣会社が事業を推進する際、派遣法に基づいてさまざまな書類の作成が必須となっています。

また派遣法は、派遣社員の権利を守る目的や、社会情勢の変化に合わせて法改正が行われ、その度に必要書類の変更が必要となります。

必要書類には、派遣先企業へ提出する個別契約書や派遣通知書などのほか、派遣社員へ提示する雇用契約書や就業条件明示書など、さまざまなものがあります。

この記事では、派遣社員への提示が義務付けられている就業条件明示書について詳しく紹介します。

 

就業条件明示書とは

就業条件明示書とは、人材派遣会社が、登録している派遣社員と契約を結ぶ際に提示することが義務付けられている書面のことで、通常の社員やパートタイム労働者に提示する労働条件通知書に当たるものです。

就業条件明示書には、契約期間や就業場所、業務内容などが明示されていなければなりません。

他にも、始業・就業時刻、就業時間、休憩時間、残業の有無、年間の休日などの明示も必要です。

また、給料、支払い方法、支払日、昇給の有無といった項目の他、退職に関することや雇用条件などの項目が、派遣法によって細かく定められています。

 

労働条件明示書や雇用契約書との違い

就業条件明示書と混合されやすいものとして、労働条件明示書や雇用契約書があります。違いを確認しておきましょう。

 

就業条件明示書と労働条件明示書の違い

就業条件明示書は、人材派遣会社が、登録している派遣社員と契約を結ぶ際に提示する書面、労働条件明示は通常の社員やパートタイム労働者に提示する書面という違いがあります。

そのため、基となる法律も異なります。

「就業条件明示書は労働派遣法に基づいて作成されており、「労働条件明示書」は労働基準法に基づいて作成されています

内容的には似た点が多く、中には「労働条件明示書(兼)就業条件明示書」として発行している場合もありますが、「就業条件明示書」と「労働条件明示書」は別ものとして考える必要があります。

 

就業条件明示書と雇用契約書の違い

就業条件明示書は、人材派遣会社が登録している派遣社員に対して一方的に提示するもの、雇用契約書は民法に基づいて作成され、雇用主(人材派遣会社)と労働者(派遣社員)とが労働条件についてお互いに合意したことを証明するための書類です。

そのため雇用契約書は2部作成し、雇用主と労働者が署名や捺印を取り交わし、それぞれが1部ずつ保管します

そのほか、就業条件明示書では「派遣期間」が明示されますが、労働条件明示書と雇用契約書では「契約期間」が明示されるという違いにも留意しましょう。

また、就業条件明示書は派遣契約更新の都度、毎回派遣社員に書面で渡す必要があります。

 

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就業条件明示書の明示項目例

就業条件明示書に記載する項目は以下のとおりです。

「就業条件明示書」のサンプルはこちら(PDFデータ)

項目 項目の注意点 記載例
雇用期間   無期雇用派遣労働者
派遣期間 2020年10月1日〜2020年10月31日
令和2年4月1日から令和3年3月31日まで
就業場所名称 部門名、電話番号も記載します。 株式会社ほっかいどう
サービス事業部
(TEL)011-0000-5678
就業場所住所 〒060-0000 北海道札幌市 0-0-53
組織単位 営業部 課長
派遣先事業所及び責任者 株式会社ほっかいどう
北海道札幌市 0-0-53
(派遣先責任者))総務部 部長  ほっかいどう 一郎
(TEL)03-2859-9981
業務内容 派遣された社員が従事する業務内容を、できるだけ具体的に明示します。 テレオペ・テレマーケティング・コールセンター PC操作の問い合わせに対する支援
業務に伴う責任の程度 ☑ 付与される権限なし
□ 付与される権限あり
指揮命令者 第一営業部 係長
ほっかいどう 三郎
(TEL)03-2859-9981
所定労働時間及び休憩時間 就業時間 09:00~18:00 / 契約時間 08:00 / 休憩時間 01:00 / 休憩時間帯 12:00~13:00
変形労働時間制 採用なし
就業日・休日 就業日については「派遣先のカレンダーによる」などの記載ではなく、基本的な就業曜日を明示します。 就業日 : 月 火 水 木 金
休日 : 土 日 祝
休暇 年次有給休暇
労働基準法第39条に則って付与する
所定時間外労働 派遣先において、時間外労働がある場合、その内容を明示します。 〔法定時間内〕1日及び1週間の法定労働時間まで就労させることができる。
〔法定時間外〕1日4時間/1ヶ月45時間/1年360時間迄の範囲まで就労させることができる。
※法定時間外は乙の労使協定により年6回を限度に1ヶ月75時間(年720時間)まで延長させることができる
休日労働 派遣先において、休日労働がある場合にその内容を明示します。 〔法定外休日〕 全日において命ずることがある。
〔法定休日〕 1ヶ月2日まで命ずることがある
基本給 ・基 本 料 金:1,200 円 / 時間
・残 業 料 金:1,500 円 / 時間
・深 夜 割 増:300 円 / 時間
・法 定 外 休 日:1,500 円 / 時間
・法 定 内 休 日:1,620 円 / 時間
※計算単位: 始業終業時間 10分(切り上げ)
諸手当 手当があれば記載します。
諸控除 控除があれば記載します。
締切日・支払日 毎月 末日締 翌月 25日支給
※但し、支払日が金融機関の休日にあたるときは前日に繰り上げて支給する
各所保険 健康保険:加入 / 厚生年金:加入 / 雇用保険:加入
昇給の有無 昇給制度があれば、必要条件なども踏まえて記載します。
退職金の有無 退職金制度があれば、必要条件なども踏まえて記載します。
賞与の有無 賞与制度があれば、必要条件なども踏まえて記載します。
安全及び衛生 派遣先と派遣元事業主が、法律の規定で課された法令を守り責任を負う旨、また、安全性に関する規定を適用する旨を明示します。 派遣先及び派遣元は、労働者派遣法第44条から第47条の4までの規定により課された各法令を遵守し、自己に課された法令 上の責任を負う。なお、派遣就業中の安全及び衛生については、派遣先の安全衛生に関する規定を適用することとし、その他 については、派遣元の安全衛生に関する規定を適用する。
便宜供与 派遣先は、派遣先に雇用される労働者が利用の機会を与える施設等を本契約に基づく派遣労働者に対しても、利用の機会を与えるように配慮する。
苦情の申出先及び処理方法 派遣社員からの苦情に対応するために、苦情の申し出を受ける人、苦情処理方法などについて明示します。苦情の申し出を受ける人については、派遣先・派遣元の両方が必要。
氏名のほか、所属部署名、役職名、電話番号も記載します。
(派遣先) サービス事業部 部長  ほっかいどう 次郎  ( TEL ) 03-2859-9981
(派遣元) 営業部 係長  本社 三郎  ( TEL ) 03-123-4501
派遣先・派遣元責任者もしくは担当者が連携し、誠意をもって遅滞なく適切かつ迅速に処理し、その結果を派遣労働者に通知するものとする。
派遣契約解除の場合の措置 派遣契約の中途解約をする場合に、派遣先と派遣元で次の就業先を探す必要があること、探せない場合には休業措置を取ることなどを明示します。 派遣契約期間の満了前に派遣労働者の責に帰すべき事由によらない派遣契約の解除を行った場合には、派遣先と連携して他 の派遣先を斡旋する等により、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることとし、これができないときは、まず休業等を行い 雇用の維持を図るようにするとともに、労働基準法第26条に基づく休業手当を支払うこと等、雇用主に係る労働基準法等の責任 を負うこととする。 また、労働者派遣契約の解除に伴い派遣労働者を解雇する場合は、30日前に予告することとし、30日前に予告しない場合は労 働基準法第20条第1項に基づく解雇手当を支払うこととする。
退職に関する事項 ・ 自己都合により申し出たとき(退職する1ヶ月前以上に届け出ること)
・ 就業規則の定めにより解雇するとき
契約更新の有無 更新する場合があり得る
派遣元事業所及び責任者 株式会社スタッフエクスプレス トライアル本社営業部
(派遣元責任者) 営業部 課長  本社 次郎
東京都千代田区一条西1丁目 S&I BLD 4F
( TEL ) 03-123-450
特記事項 既に締結済の雇用契約がある場合は、当該雇用契約に優先して本書面の労働条件を適用する。
労働者派遣に関する料金の額 派遣社員に対して、派遣先から請け負っている料金の額を知らせなければなりません。
派遣先からの派遣料金額は「派遣社員本人の派遣料金」か「派遣社員が所属する事業所の派遣料金の平均額」のいずれかを明示します。
派遣労働者が所属する事業所における派遣料金の平均額:1,450 円 / 時間
派遣受入期間制限 派遣先の事業所における期間制限に抵触する最初の日 : 2021年5月10日
組織単位における期間制限に抵触する最初の日 : 該当なし
協定対象派遣労働者であるか否か ☑ 協定対象派遣労働者である ( 当該協定の有効期間の終了日:2021年3月31日 )
□ 協定対象派遣労働者ではない
雇用管理の改善等に関する事項に関わる相談窓口 株式会社スタッフエクスプレス トライアル 本社営業部
(相談窓口責任者) 管理部 主任  本社 春子
東京都千代田区一条西1丁目 S&I BLD 4F
( TEL ) 03-123-4501
労働契約申込みみなし制度 派遣受入期間制限に違反した場合は、労働契約申込みみなし制度の対象となります。
派遣先が派遣労働者を雇用する場合の紛争防止措置 労働者派遣終了後に、派遣先が当該派遣社員を雇用しようとする場合に、派遣元との紛争が起きないように、派遣先から派遣元に、事前に通知する旨を明示します。 派遣先は、派遣元と労働者派遣契約中の派遣労働者を直接雇用してはならない。
労働者派遣の役務の提供の終了後、当該派遣労働者を派遣先が雇用しようとするときは、派遣先は派遣元に予めその旨を通 知しなければならない。派遣先による派遣労働者の直接雇用が、派遣元と当該派遣労働者間での雇用契約の解消をもたらすと きは、派遣先は職業紹介を行うことが可能な場合は職業紹介により紹介手数料を支払うこと、その他の対策については派遣先 は派遣元と誠意をもって協議しなければならない。
屋内の受動喫煙対策 あり(喫煙室あり)
特記事項:(あれば記載する)

 

就業条件明示書の作成なら

労働者派遣事業は、派遣先事業主、派遣元事業主、派遣される社員の三者間での雇用形態となるため、雇用関係が複雑で、トラブルにつながってしまう可能性もあります。

トラブルを回避するためにも、就業条件明示書の作成は重要であり、派遣法でも義務付けられているのです。

しかし、就業条件明示書の内容は複雑な上に、法律に関わるものであり、さらに法改定の度に変更が必要になるため、専門家ではない職員が管理するのは難しいかもしれません。

人材派遣業に関わるさまざまな業務に対応した管理システムの「STAFF EXPRESS(スタッフエクスプレス)」では、今回ご紹介した就業条件明示書をはじめ、派遣法に準拠したあらゆる法令帳票を作成することが可能です。

法改定された場合にも、保守サービスの範囲内で、それに合わせて就業条件明示書などの書類がアップデートされるため、システム変更のための予算やスケジュールを立てる必要がありません。

就業条件明示書などの法令帳票作成でお悩みでしたら、トラブル回避や業務効率アップのためにも、「STAFF EXPRESS(スタッフエクスプレス)」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

 

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