派遣社員の管理項目は5つ!派遣先企業が対応すべきこと

各業界で人材不足が叫ばれる中、人材活用の一つとして有効なのが派遣社員です。

専門スキルを要する派遣スタッフも増えており、派遣先の企業にとって派遣社員は即戦力であり、人材派遣を上手に活用し、必要な時に必要な労働力を提供してもらうことで、業務効率化や人手不足の解消を図ることが可能になります。

しかし、せっかく派遣スタッフを依頼しても、受け入れ体制が整っていなかったり、適切に管理できていなかったりして、思うように業務が進められないとなっては本末転倒です。

今回は、派遣社員を適切に管理し効率の良い体制を整えるためにはどうすれば良いのか、各管理項目の内容や管理における企業の悩みと解決策について見ていきたいと思います。

派遣社員の管理項目5つ

労働者派遣業は、派遣社員が派遣元に雇用されながら、派遣先からの指示を受けて労働に従事するという特殊な形態で行われます。

そのため、派遣社員の管理については、派遣元企業と派遣先企業が分担して責任を負うことになっています。

派遣社員を受け入れる際、派遣先と派遣元がそれぞれ何を管理しなければならないかについては、派遣法で定められています。

派遣先は業務の指示や雇用環境の整備、勤怠状況、現場での状況などを管理し、派遣元は雇用主として賃金の支払いや有給休暇の付与、健康診断などを行わなければなりません。

派遣社員を受け入れる際、派遣元と派遣先が管理すべき項目は様々ありますが、ここからは特に重要な5つの項目について解説します。

契約の管理

派遣活用には、派遣元・派遣社員・派遣先の三者が関係するため、契約内容が複雑です。

また、派遣社員の契約内容や契約状況は個人によってそれぞれ異なる場合も多く、管理は煩雑になりがちです。

トラブルを防ぐためにも、各派遣スタッフの契約についてしっかりと把握しておきましょう。

まず、契約にない業務や時間外労働や休日出勤などを派遣スタッフに依頼すると、派遣先の規定に反するとしてトラブルにつながる恐れがあるため注意が必要です。

時間外労働に関しては、派遣元と派遣社員との間で36協定を締結している場合であれば、派遣社員の意向を確認したうえで依頼することもできます。

36協定は「時間外・休日労働に関する協定届」とも呼ばれ、企業は「1日8時間、週40時間」の法定労働時間を超える時間外労働及び休日勤務などを命じる場合、労働組合などと書面による協定を結び、労働基準監督署に届け出ることが労働基準法第36条により義務付けられています。

契約内容に変更が生じる場合には、たとえ些細なことでも三者間で協議し、合意するようにしましょう。

勤怠の管理

派遣の勤怠管理とは、派遣社員の勤務時間や休憩時間などを記録し、勤務状況を把握することを言います。

日々の労働時間の管理だけでなく、有給消化の管理も必要です。

派遣先は、派遣社員の始業時刻や終業時刻、休憩時間について、月に1度以上、派遣元に通知しなければなりません。

派遣社員の勤怠は、派遣スタッフの日々の労働時間を派遣先会社が管理する一方で、給与の支払いや時間外労働に対する手当の付与については派遣元が取りまとめるため、正規雇用の社員と比べて作業が煩雑な場合が多く、問題も発生しやすいと言われています。

勤務実績の把握がきちんと行われていないと、適切な給与の支払いができないなどのトラブルに繋がるため、虚偽などの不正がないかを確認することが重要です。

記録を行うツールには決まりがなく、所定の用紙を用意して派遣社員に社員番号や氏名、始業・終業時刻、休憩時間を手書きしてもらう方法や、パソコンから勤務状況をシステムに入力・申請する方法、派遣元と派遣先が同じシステムを導入し、クラウドで勤怠状況を管理する方法などがあります。

いずれの場合でも、派遣社員が記入や入力、申請した内容と実際の勤務状況に間違いがないかチェックする必要があります。

申請内容と実態が一致するかだけでなく、契約書で定められた業務以外の業務を行っていないか、時間外労働や休日出勤をしていないかも確認しましょう。

業務指導の管理

派遣社員に対して具体的な業務内容を指導・指示を行うのは、派遣先企業です。

派遣社員が行う業務については、就業前に派遣先による研修を実施したり、マニュアルを用意して指導できる体制を整えたりするようにしておきましょう。

実際に業務が始まってからも、派遣先企業は派遣社員に適宜指示を出したり、業務指導を行ったり、質問に答えたりしなければならないため、指揮命令者を決めておく必要があります。

また、派遣社員の人数が多い派遣先企業では、派遣社員の中からリーダーを選出するケースもあります。

その場合も、派遣社員がスムーズに業務を遂行できるよう、他の派遣スタッフからの質問をまとめたり、相談役をしたりしてもらうリーダーを決めておきましょう。

健康・安全の管理

派遣元及び派遣先は、派遣労働者の安全と健康の確保について大きな責任があり、派遣社員の危険を防止したり、健康を確保するために措置を行ったりしなければなりません。

一般健康診断など一般的な健康管理は雇用主である派遣元に実施義務がありますが、労働時間や危険防止など、実際の就業に関する具体的な項目については派遣先が責任を負うこととなっています。

派遣先企業は、繁忙期であっても社員同様に必要な休憩時間を与えたり、職場環境を整えたりするなど、派遣社員が快適に業務を行える環境を整えるよう務めましょう。

苦情、ハラスメントの管理

派遣先に対して派遣社員から苦情やハラスメントの申し出があった場合には、その内容を派遣元と連携し、誠意をもって遅滞なく適切かつ迅速な処理をしなければなりません。

派遣業界でもパワハラやモラハラ、セクハラなどのハラスメント問題は年々増加しており、その対策に取り組む派遣会社も増えているようです。

派遣先の担当者は、苦情の申し出が合った旨を派遣元に連絡して、苦情内容の確認を行った上で状況改善をはかり、苦情の処理を行います。

契約上の問題がない限り、苦情の申し出を受けたことを理由にして派遣契約の早期打ち切りや更新をしないなど、派遣社員に対して不利益な取り扱いをすることは禁じられています

派遣先と派遣元は、派遣社員からの苦情やハラスメントの申し出を受ける担当者を事前に決めておき、プライバシーに配慮しながらそれぞれが連携して解決を図るよう努めましょう。

派遣労働者から受けた相談内容や対応状況等は、派遣先管理台帳などに記録し、派遣終了後3年間保存しなければなりません。

派遣社員が安心して働ける環境を提供するため、双方が真剣に取り組む必要があります。

派遣先管理台帳の作成が必要

派遣スタッフを受け入れる際の重要書類の一つに「派遣先管理台帳」があります。

派遣先管理台帳は、派遣労働者の労働日や労働時間など、就労実態を記載する書面のことを言い、派遣社員を受け入れて就労させている企業には派遣先管理台帳の作成義務があります。

派遣スタッフを雇用している派遣元企業がスタッフの就業実態を正確に把握するために、派遣先企業は派遣先管理台帳を作成・保管し、記載内容を月に一度以上派遣元に通知しなければなりません。

派遣先管理台帳の記載内容は派遣スタッフの氏名や派遣元事業主の詳細、業務の内容、その他多岐に渡り、派遣スタッフ一人ひとりについて日々記録する必要があります。

派遣スタッフの勤務状況を把握し、記載漏れなどによるトラブルが起こらないようにするため、派遣先管理台帳の正しい書き方を把握した上で適切に作成しましょう。

派遣社員の管理における悩み

派遣社員の管理に関しては、派遣先企業、派遣元企業、双方にそれぞれ悩みがあるようです。

派遣先企業の悩み

派遣社員は会社の業務効率に貢献してくれ、本来の業務にリソースを費やせるなど多くのメリットがありますが、派遣社員が増えれば増えるほど煩雑になるのが業務の多さです。

派遣社員にかかる管理業務に時間を奪われ、本来の業務に集中できないようでは、派遣依頼をした意味がありません。

具体的には、「派遣社員の状況や契約内容、契約終了日・更新日を管理しきれていない」「手作業による管理のためミスが起こりやすい」「個別契約書・派遣先管理台帳の管理や勤怠管理が煩雑」などの悩みが多く聞かれます。

加えて、複数の派遣元に依頼している場合、勤怠の記録方法が各社で異なるため承認作業に時間がかかるなど、さらに作業は複雑になります。

派遣元企業の悩み

派遣元企業の悩みとしては、派遣社員の雇用主であるものの実際の勤務状況を見ることはないため、勤務実態を把握しにくい点が挙げられます。

「申請のあった勤怠と実際の勤務内容が合っているか」「契約にない業務をしていないか」など、派遣先でトラブルがあった際に実態を確認しづらいことも派遣元が抱える問題の一つです。

派遣先管理台帳の記載内容に不備がないかなど、派遣先企業に対してもチェックが必要になります。

派遣社員の管理を効率化するには?

派遣社員に関する業務や人材派遣会社との確認・対応に時間が割かれると、かえって業務効率が悪化しかねません。

煩雑になりがちな派遣社員の管理を効率化は、人材管理システムが活用できます。

人材派遣管理システムを導入する

効率的な派遣社員の管理には、人材派遣管理システムの導入がおすすめです。

人材派遣管理システムは派遣社員の勤怠状況などを効率的に管理するシステムで、管理業務の効率をアップさせることで業務負担を大幅に削減し、本来の業務に集中することが可能になります。

現在では多種多様な人材派遣管理システムが提供されており、基本的な勤怠管理にとどまらず、派遣スタッフの管理に関する業務を一元で管理することが可能です。

たとえば、管理表の作成など、従来エクセルで行っていた単純作業を効率化・自動化したり、特殊な人材派遣業の事情を汲み取って派遣社員ごとの進捗管理をまとめて実施したり、勤怠などリアルタイムのデータベース情報を元に派遣社員の給与支払い管理を行ったりといったことができます。

データを元にしているため給与計算のミスなども防げるので、派遣社員と派遣元、派遣先の三者間の良好な関係維持にもつながるでしょう。

クラウド人材派遣管理システム

なかでも「STAFF EXPRESS(スタッフエクスプレス)」は、人材ビジネスに特化した総合管理システムで、派遣・紹介・請負・業務委託を網羅した人材ビジネス向けのオールインワンパッケージです。

STAFF EXPRESS(スタッフエクスプレス)を導入することで、スタッフ管理や案件管理、勤怠や給与管理などの業務を一元で管理することができます。

STAFF EXPRESS(スタッフエクスプレス)では、カメラ機能でQRコードを読み込んで出退勤を打刻し、派遣元・派遣スタッフ・派遣先の三者間でデータ連携が円滑に行える「QR勤怠」を始めとする、様々なサービスを提供しています。

QR勤怠以外にも、仕事照会や応募申請、シフトの照会や給与や支給照会などの手続きをタブレットやスマートフォンのWebアプリケーションでスタッフ自身で行えるのが特徴です。

派遣スタッフから登録・提供された情報は、クラウドでSTAFF EXPRESS(スタッフエクスプレス)に連動され、派遣元は打刻などの情報をリアルタイムで確認することができます。

また、スタッフエクスプレスでは派遣スタッフに関する派遣法に準拠したあらゆる法令帳票のフォーマットをエクセルで提供しており、レイアウトをオリジナルに変更してのダウンロードが可能です。

まとめ

煩雑になりやすい派遣スタッフの管理業務も、人材派遣管理システムを活用することで大きく改善することができます。

STAFF EXPRESS(スタッフエクスプレス)を導入すれば、派遣スタッフはシンプルで簡単な打刻で勤怠報告ができ、ストレスがありません。

また、派遣元と派遣先はデータ共有がリアルタイムにおこなえるほか、間違いや漏れ、それに起因するトラブルを防げるなど、多くのメリットがあります。

派遣社員の管理に関する膨大な作業に悩まされている場合や、今のシステムを不便に感じている場合は、人材ビジネス向けのオールインワンパッケージの「STAFF EXPRESS(スタッフエクスプレス)」をぜひご検討ください。