人材派遣での労働条件の明示・労働者派遣契約を電子化!コスト削減・業務効率化で競争力を上げるためには?

2022年4月27日

デジタル技術の発展により、社会全体で電子契約が徐々に普及してきていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大が後押しとなり、電子契約の認知・普及が一気に拡大しました。人材派遣業においても例外ではなく、電子契約で業務の効率化・コスト削減をおこなうことが推奨されています。

本記事では、電子契約を取り入れるために必要な要件と、人材派遣業の電子契約に便利な「STAFF EXPRESS」のサービスについてまとめました。

電子契約に対応すべき理由

「電子契約」とは、従来の紙媒体の契約書に代わり、電子データに電子署名を施すことで締結する契約スタイルです。

デジタル技術の発達に伴い、社会全体でこの「電子契約」が普及してきています。特に新型コロナウイルスの拡大した2020年は、これまでの働き方の変革を余儀なくされました。2020年は「テレワーク元年」とも呼ばれるように、感染防止対策の一環としてリモートワークが一気に普及し、従来の慣行を見直す企業が増えたのです。上司の押印をもらうためだけに出社する「ハンコ出社」を問題視し、ハンコ文化からの脱却を図った企業もその一例でしょう。

また、デジタルトランスフォーメーション(DX)にも注目が集まりました。さまざまな企業でDXを活用しながら、紙媒体で提出・管理していた書類を電子化し、従業員がどこで働いていても効率よく仕事ができる仕組みづくりを模索し始めました。

さて、電子契約の普及は人材派遣業においても例外ではありません。人材派遣業と契約の電子化は日本の法制度が大きく絡んでくるため、ここでは法制度の改正とともに人材派遣業における契約の電子化の流れについてご説明しましょう。

■労働条件通知書の電子化(2019年)

まずは派遣元企業と派遣スタッフの契約のお話です。

従来、派遣元企業は派遣スタッフに対して「労働条件通知書」を「紙媒体の書面」で交付することが義務付けられていました。しかし2019年に、労働条件を明示する方法について法律の一部が改正されました。改正内容は、従来の書面に加え、労働者が希望した場合はファクシミリや電子メールなどの送信により労働条件を明示して良いというものでした。

ただし、労働条件を電子媒体で明示するためには、以下の3つのポイントを満たしている必要があります。

  1. 労働者が希望した場合であること
  2. 誰でも閲覧できるファイルなどに保存しないこと
  3. 紙にプリントアウトできること

参考:労働条件の明示の方法(労基則第5条第4項関係)

■労働者派遣契約に係る事項の電子化(2021年)

次に、派遣元企業と派遣先企業の契約締結についてのお話です。

民間企業などが発行する文書の保存・作成・閲覧に関するルールは、「e-文書法」で細かく規定されています。「e-文書法」では、電子保存しても良い文書の種類などについて記載されていますが、人材派遣業の一部の文書の電子化は認められていませんでした。派遣元企業と派遣先企業の間で締結される「労働者派遣契約」も電子化対象外の書類のひとつでした。それが2021年、ついに「労働者派遣契約」も電子化が認められることになりました。

参考:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行 規則の一部を改正する省令案等について 

このように、社会情勢や法改正により、社会全体でも人材業界でも契約の電子化が加速化しているのです

人材派遣業において電子化に対応するメリット・効果とは

人材派遣業で契約を電子化することで得られる4つのメリットについてご紹介します。

コスト・手間の削減

電子契約の1つ目のメリットは、契約に関わるコストや手間を削減できる点です

ここで、紙媒体で契約書を作成する場合の作業の流れを見てみましょう。

  • 作成 → 印刷 → 捺印 → 郵送 → 回収 → 保管

それぞれの過程では、作業コスト(人的コスト)や物理的コスト(郵送代、印刷代、用紙代、封筒代、保管スペース代など)がかかっています。契約を電子化すると、これらのコストを大幅にカットすることが可能です。上記に挙げた物理的コストは不要となり、印刷や封入時間などを短縮できることから作業コストの削減もできます。

また、郵送による契約締結の場合は、なかなか返送してもらえないこともあるでしょう。このような時は相手に状況を確認するなどの作業が発生しますが、電子化をすれば契約手続きの状況も可視化できるため心理的負担を軽減することもできるでしょう。

ここで、紙の契約と電子契約それぞれにかかるコストのシュミレーションを見てみましょう。

※月間契約100件、モノクロ印刷1枚2円、紙1枚1円、契約1件当たり郵送費370円、人件費時給2,000円、サービス利用料金NEO契約照会ログイン100人までの料金として算出

■紙の契約
・作業時間 10分×100件=約16時間30分
・人件費 32,000円
・印刷代+郵送代 37,300円
合計→69,300円

■電子契約
・作業時間 1分×100件=約1時間30分
・人件費 3,000円
・サービス利用料金 5,000円
合計→8,000円

比較すると、電子契約では61,300円もコスト削減が出来ています。

また、電子契約では紙を印刷しないため、契約書の保管に必要な倉庫や書棚も必要なくなります。

対面リスクの軽減

契約締結を郵送ではなく対面でおこなっている企業もあるでしょう。ところが、コロナ禍で企業訪問も難しくなっています。契約を電子化すれば、非対面で契約の合意形成を図ることができるため、対面でのリスクを軽減することが可能です

データの紛失リスクの軽減

紙媒体の契約書の場合、紛失のリスクがあります。労働者派遣契約は他業種の契約と比較すると短期間になりがちなうえに、継続更新する際の再契約がおこなわれることが多いのが特徴です。その過程で必要となる書類は膨大になります。

契約書の保管方法についてルールを定めている企業は多いでしょうが、日々締結される大量の書類を正しい場所に保管し忘れる人的リスクは避けられません。また、契約書が入ったカバンを電車などに置き忘れて紛失してしまったら、企業のコンプライアンス問題にも関わってきます。

契約の電子化をすることで、契約書の物理的な紛失を軽減するとともに、管理に関わる煩わしい作業から従業員を開放することが可能です

情報の活用

契約を電子化することで、様々な面で情報を活用することができます。契約データを蓄積することで、どのようなスタッフをどのような企業に派遣すれば派遣先に満足してもらえるか、派遣スタッフの離職率が下がるか、などを分析することが可能です。派遣先企業の満足度は持続的な関係維持と売上拡大のために、派遣スタッフの満足度は人材確保のために必須でしょう。

電子化されたデータを分析することで、このような売上に関わる情報を分析することが容易になり、今後の経営戦略に活かすことができるようになります

人材派遣業の電子化に役立つSTAFF EXPRESS

ITコンサルティング・調査会社の調査によると、、2020年度の電子契約サービス全体の売上は100億円を突破し、前年度と比較すると72.7%増加したそうです。電子契約の拡大を受けて今後もさまざまなサービスが出てくることが予想されますが、電子契約サービスが増えるほど、どのサービスを導入すれば良いのか迷ってしまう企業も多いでしょう。

そこでここでは、人材派遣業の電子契約に最適な「STAFF EXPRESS」をご紹介します。

「STAFF EXPRESS」は、人材ビジネス向けの総合支援システムです。派遣スタッフ向けのWebアプリケーションサービス「NEO」や、人材会社の派遣先企業向けコミュニケーションサービス「PARTNER」などと連携することで、人材ビジネスに関わるあらゆるステップの業務を管理することができます。

そして「STAFF EXPRESS」の「契約照会」機能を使えば、「労働条件通知書」「就業条件明示書」「労働者派遣個別契約書」などを発行でき、派遣スタッフや派遣先企業と電子契約が可能ですまた、「派遣先管理代行」などさまざまなテンプレートが備わっているため、多種多様なデータを一元管理することができるでしょう。

契約照会機能の特徴・メリット

では、契約照会機能の特徴やメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。主なものをご紹介します。

コスト削減

契約を電子化することでコストカットができることを前述しましたが、「STAFF EXPRESS」でももちろんコストカットが可能です。

たとえば、毎月契約書などを100通郵送をしていた企業が電子契約に切り替えた場合、郵送費用は100通×○○円、それに伴う作業コスト、人員コストがゼロになります。コロナ禍でオフィスを縮小する企業もあるようですが、電子化すれば紙の契約書の保管スペース分も縮小可能でしょう。

簡単な操作性

「STAFF EXPRESS」は、直感的で分かりやすい画面設計と操作性になっているため、ITツールに明るくない人でも簡単に使いこなすことができるでしょう。たとえば、派遣スタッフや派遣先企業に書面を公開するための操作は、ボタンひとつでできます。

また、「STAFF EXPRESS」は業務機関パッケージでありながら、カスタマイズが可能なのも大きな特徴です。これまで利用していたツールに似た画面を用意することで、利用者の心理的な負担を軽減したり、利用企業に最適なプログラムに改修することもできます。

さらに、契約書などのテンプレートも自社に適した形に編集して使用することが可能です。

業務の効率化

電子化により契約に付随するさまざまな業務の効率を上げることができますが、ここでは「STAFF EXPRESS」の「契約照会」機能の中でも、業務の効率化に繋がるおすすめ3機能をご紹介します。

1つ目は、書面をPDFでWeb上に公開したら、相手先に自動で通知する機能です。従業員は、契約書面をWeb公開した旨をわざわざ電話やメールで相手に通知する必要がありません。

2つ目は、Web上でおこなえる契約の同意確認機能です。対面で同意確認をおこなう場合、相手との日程調整が必要になりますが、Web上で同意確認ができれば日程調整の必要はありません。時間や場所の拘束がなくなるため、相手がテレワークをしていても同意確認ができ、契約締結をよりスピーディーにおこなうことが可能です。また、「いつ、誰が同意したか/同意していないか」を、STAFFEXPRESSから一覧で確認出来るので、回収管理もスムーズに行う事ができます。

ちなみに、派遣先向けのサービス「PARTNER」では、「クリックオン契約」を採用しています。「クリックオン契約」とは、画面にある「同意する」項目をクリックすることで、同意を示す契約スタイルです。

この「クリックオン契約」はとても簡単で便利な契約スタイルですが、どのシステムでも認められているわけではありません。クリックオン契約を法的に有効な同意確認とするには、締結までの一連の契約プロセスが法令を遵守している必要があります。また、契約事項を合意した証拠を保持し続けるなど、契約締結後の情報の保存方法も考慮されたシステムでなければなりません。「PARTNER」は、法令の遵守ポイントをクリアしながらも、クリックオン契約を用いた簡単な操作で同意確認をできる仕組みを採用し、相手に負担をかけない仕組みを実現しています

3つ目は、契約書の「版数管理」機能です。「STAFF EXPRESS」では既存の契約書に修正や編集を加えた場合、単純に上書き保存されるのではなく、「第〇版」として保存されます。そのため、過去の情報にも容易にアクセスして内容を確認することが可能です。社内の担当者が変わったとしても経緯などを簡単に把握することができるため、過去の関係者に問い合わせる手間が省けます。

シンプルな仕組みで電子化の要件をカバー

電子契約をおこなうためには、法令で定められている複数の要件を満たしている必要がありますが、「STAFF EXPRESS」はシンプルな仕組みを採用しつつも電子化の要件すべてをクリアしていますここで2つの機能例を見てみましょう。

1つ目は、契約情報を閲覧できる人を制限する仕組みです。雇用条件を電子媒体で明示する際は、「誰でも閲覧できる状態にしておくのは禁止」されていますが、「STAFF EXPRESS」はあらかじめ登録しておいたIDとパスワードでログインしないと閲覧できない仕組みになっています。ポイントは、「IDとパスワードでログインするだけ」で同意確認画面に辿り着ける点です。

派遣契約はBtoBの契約で相手が特定できるため、詐欺などのリスクは比較的低いといわれています。また、派遣契約は多額の契約となるケースは少なく、日常的に行われる契約であることが多いです。

つまり、派遣契約においては比較的少額の契約をたくさん締結していくことが多いため、より簡便な契約プロセスを用いることが望ましいといえるでしょう。そして、簡単な操作で同意確認ができる「STAFF EXPRESS」は、最適なシステムなのです

また、法令順守の観点では、次の3つの情報を残すことができます。

  • 「誰が(本人性)」
    相手のメールアドレスとパスワードを用いて取引先のみがログインできるため、本人性を有しています。
  • 「何を(非改ざん性)」
    合意された契約書のPDFデータはクラウド上に保管されます。また、版数の管理ができるため修正箇所もログとして残せます。
  • 「いつ」
    同意日時がクラウド上に保存され、いつでも確認できます。

このように、「STAFF EXPRESS」は法令を遵守すると同時に、契約締結の相手は難しい操作をする必要はないため、ルールの範囲内で最大限の簡易性を実現したシステムといえるでしょう

2つ目は、契約情報のプリントアウトの仕組みです。雇用条件の電子化にあたり、「紙に出力できること」が条件となっていますが、「STAFF EXPRESS」で作成した契約書のPDFは、Webブラウザ上からいつでも簡単にダウンロードすることが可能です。

今こそ電子契約に対応を!

電子契約については、現在も政府を挙げて規制改革が進んでおり、今後も改正が進んでいくことが考えられます。時流に合わせて電子契約サービス市場は今後もますます拡大していくでしょうが、自社にとってどのサービスを利用することが適切か判断していく必要があるでしょう。

目まぐるしく変化する時代に「STAFF EXPRESS」で電子化を取り入れていくことで、人材業界の中での競争力を高めてみてはいかがでしょうか。